ウィリアム・オニールの成長株の投資手法CAN SLIM
米国の有名投資家であり、株式情報サイトIBD(Investor's Business Daily)の設立者であるウィリアム・オニール氏の(William J. O'Neil)成長株への投資手法について勉強をしました。
オニールの相場師養成講座―成功投資家を最も多く生んできた方法 (ウィザード・ブックシリーズ)
- 作者: ウィリアム・J.オニール
- 出版社/メーカー: パンローリング
- 発売日: 2004/04/20
- メディア: 単行本
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オニール氏の投資手法は損益計算書(P/L)で成長率を確認し、株式チャートの形を見て、その株が新高値を付けた時に買うと言う手法です。
損益計算書やキャッシュフロー・ステートメントは基本的に気にしてみません。
ファンダメンタルズとチャートの両方を使った成長株投資方法です。
私自身チャートに関しては懐疑的で、チャートで株価予測なんかできるの?と思っていましたし、チャートに関しては全く知識がありませんでした。
この本を読んで、人々の相場に対する心理がチャートに表れている事を知りました。
オニールの成長株の投資手法は、成長株の一番おいしい所で利益を取るような感じです。
私のように成長株投資家にはかなりオニールの投資手法は有効で、Investor's Business Dailyは便利な金融サイトだと思いましたので、ここでご紹介いたします。
オニールが語っている株式投資の前に理解しておく5つの事
①売りに関するルールを持つこと
株価が買値から20-25%上がったら一部を売る事。
株が値を戻すのを願って待つのではなく、小さな損失が出たらいつもすぐに売る事。の本の中で何度も、株価が7-8%下がったらロスカットする事と言っています。
どんな人でも買った株が下がったら、損失を確定しなくないので売る気がなくなりますよね。
このまま売らずに持っていたら、いつか元に戻るのではないかと考えがちです。
でも売らないと更に下がるかも知れませんし、いつまで経っても株価が元に戻らないかも知れません。
いつまでに良くない銘柄と付き合うよりは、さっと売って別の上昇する株に乗り換えた方が時間と資金効率が良くなります。
②株は、下げているときではなく、上げているときに買う事
人の心理的には株が下がって時にチャンスと思って買いたいですが、オニールの投資手法では成長株を一番株価が上昇している時期に買う投資手法なので、株価が上げ始めたら買い、下げ始めたら直ぐに売ります。
株は、下がりに下がって割安に見えるときではなく、年初来の高値近くで買います。
③企業の簿価、配当、PERはほどほどにして、利益の伸び、値と出来高の動き、そしてその企業がその業界で最も利益を出しているかどうかが重要。産業グループ内の出遅れ銘柄には手を出すな
確かに最近の成長株でもアマゾンやフェイスブックのように業界ナンバーワンの企業の株価は圧倒的に上昇しています。
わざわざ業界で負け組だけど割安だというような株を買う必要はありません。
④チャートはその銘柄や市場に手を出すべきかどうかを教えてくれる。
⑤株はプロのスポーツ選手のようなものだ。優秀な銘柄ほど高い値段が付いている。
オニールの投資方法 5つのステップ
ステップ①市場全体の方向性を見極める方法
ここでは株の需給を見極めて、株式市場が強気相場か弱気相場なのかを知る方法を伝えています。
上昇トレンドの市場の場合、価格と出来高が連続的に上昇している。売りよりも買いが優勢な「アキュムレーション」の状態である。
どんな上昇トレンドでも売りが買いを上回る「ディストリビューション」の状態が来る。
ディストリビューションの1日目は指数の終値が前日よりも低く、出来高が多い時。
2-4週間のなかでディストリビューションが2-5日あれば、市場は下降トレンド入りしたと判断出来る。
「ストーリング(失速)」も市場が下降トレンド入りしたことを示す動きとなる。
市場が活発な商いの動きの中に、突然勢いが止まって、下がる訳ではなく、前日、前々日と比較して上りが鈍くなる。
ベア相場は寄り付きで上げ、大引けで下げる事が多い。
下げ相場でも一時的に上がることがあるので、底を見極めるためには、反発しても1,2日は様子を見る事。
反発が4日続いて、出来高が大幅に増え、主要指数が大幅に上昇した場合、反発の確認である。この確認が「フォロースルー」。市場指数が前日とその日よりも多い出来高を伴って、1.7%以上上げたとき。
ステップ②利益と損失の確定
どんな優秀な投資家でも買った株が全て値上がりする事はありません。3割の勝率でも資産を増やせる方法を伝えています。重要なことは人の感情に左右されない事で、客観的に株を見なければなりません。
株価が買値から20-25%上がったら一部を売る事、7-8%下がるまでに全てをロスカットすること。
8%までの下落でロスカットをしておけば、大きな損失は避けることが出来ます。
ステップ③最高の銘柄を最適なタイミングで買う12の大切な事
→オニールの投資手法を勉強してこの買うタイミングが一番有効な部分だと思います。
1)一株当たりの利益(EPS)が前年同期比よりも25%以上増加している事。
2)利益の伸びが、前年度の伸び率と比較して、当四半期の時点で加速している事。
例えば、過去数四半期の利益の伸びが23%だった企業が、急に45%伸び始めた場合。
3)過去3年間の年間利益率が25%以上増えている事。
4)最近の2つ以上の四半期の売上が25%以上増えているか、直近3四半期の伸び率が加速している事。
5)直近四半期の税引き後利益率が新記録を更新か、新記録に近い、またその業界の最高水準である事。
6)資本利益率(ROE)が15%以上である事。
7)ハイテク企業は、1株あたりのキャッシュフローが利益よりも大きい事。
8)ブル相場ではEPSとレラティブ・ストレングスが90以上である事。
9)銘柄の産業グループが上位10位か20位以内にランクされている事。
10)銘柄が機関投資家に保有されていて、数四半期に渡って保有数が増えている事。
11)企業が自社株買いをしている事。
12)企業の実態が理解出来ている事。
カップ・ウイズ・ハンドルのハンドルで買う
オニールが過去50年間の株式チャートを研究し、株価が上放れペースとなるチャート・パターンに名付けたのがカップ・ウイズ・ハンドルです。
チャートを見たときに形がコーヒーカップを横から見たような形です。
典型的なものが5-7週間で下落してカップの左部分を形成し、それからカップの底を描いて、上昇しながらカップの右側を描きます。
その後上下しながらカップのハンドルを描きます。ハンドル部分の前の高値をブレイクしようとするときが絶好のBUYポイントです。
カップの底部分では1-2週間の出来高が低くなり、出来高が少ないと言うのは売りが出なくなってきている事を意味し、その後の強気の要因になります。
ステップ④利益を確定するタイミング
→当然ですが、株式投資は買うタイミングと次に売るタイミングも重要ですよね。
- 基本的には株価が20-25%上がったところで利益確定を行う。
- 7-8%下がったらロスカットする。
利益25%を3回続ける事が出来れば、資金は2倍になる。
例外があって、強いブル相場の中で、過去3年間の売上と利益の伸びが高く、ROEが高く、機関投資家に買われていて、強い産業グループのリーダーであり、1-3週間で大商いに乗って20%急騰した場合は、BUYポイントから8週間は保持する。
ジェシー・リバモアの言葉「大きな利益は、アイデアによってではなく、相場に踏みとどまったことによって得られる」
- クライマックス・トップ(株価の天井)を見極める事。
クライマックス・トップでは、何か月も上昇していた主導株が突然地を離れ、これまでのペースでよりはるかに速いテンポで急騰する。
- エグゾースション・ギャップとは70ドルで引けた株が、翌日には75ドルで寄り付くと言う、株価に刻みが無い事。これは株価の天井の最後の最後であるシグナルである。
- 株価が天井をつけるときには、PERが当初から比べて120-130%大きくなるのと同時に、クライマックス・トップとエグゾースション・ギャップが起こることがある。
- レラティブ・ストレングスが70を割った時には売却を考える事。レラティブ・ストレングスとは相場の中でその銘柄がどれだけ強く上昇しているかを数値化たもので、Investor's Business Dailyのサイトで公開されています。
ステップ⑤ポートフォリオ管理
- 分散しすぎない事。自分で銘柄数のルールを作る事。
- どんな株も下がったからと言って買ってはいけない(ナンピンは絶対にしない事)
- 銘柄選択に必要なことは、企業と企業が属する産業セクターを理解することが60-65%、チャートと相場の動きを理解していることが35-45%。
オニール氏は1953年以降の米国の株式市場の成長株を研究し、成長株の急騰と急落の前に、それらの銘柄がどのような特徴があったのかを、ファンダメンタルズとチャートで分析しました。
そして過去の歴史から学んだ戦略をまとめたキャンスリム(CAN SLIM)と言う投資手法を作り上げました。
キャンスリム(CAN SLIM)とは
オニール氏の投資手法ではまず次の7つに焦点を当てて銘柄を選択します。
C (Current Earnings)
当期四半期の一株当たりの利益(EPS)が18-20%は増加している事。
A (Annual Earnings)
EPSの年間福利成長率が最低25%。過去3年間のEPSの伸びが毎年著しい事。
N (New Product or Service)
強力な新製品・新サービスがリリース、経営陣の交代、業界の変化などあったか。
S (Supply and Demand)
その株の需給状況を知る事。
トップ経営陣が大株主である事、公開市場で自社株買いをしている事、過去数年間に負債比率が下がっている事は良い。
L (Leader or Laggard)
その株が相場のリーダー(先導)株なのか、出遅れ株なのか。
強い産業グループのトップ3以内の銘柄を買う事。
レラティブ・ストレングスが80以上を買う事。
レラティブ・ストレングスが70未満は出遅れ銘柄であり、買わない事。
I (Institutional Sponsorship)
機関投資家に買われるか。
複数の機関投資家によって保有されている銘柄を探す事。
M (Market)
株式相場全体の状況を把握し、ブル相場の時に買う。
相場が天井をつけて下落し始めたら、25%は現金化する事。
オニールの投資手法の実践へ方法
本を読んでオニールの投資手法を理解出来ましたが、実際のこれらの条件に合う銘柄を探し出して、更にチャートの形を確認するのはなかなか大変な作業だと思います。
若しくは先にチャートを確認して、その後に利益成長を確認するのも良いかもしれませんが、それでも条件いある銘柄を探し出すのは、かなり多くの時間を要すると思います。
そこで条件に合う銘柄をピックアップし、買うタイミングと売るタイミングを教えてくれるのが、Investor's Business DailyのLeardboardと言うサービスです。
また、Leardboardでは現在買うべき条件に合っている銘柄をリアルタイムに紹介してくれますし、チャートを見てコーヒーカップの形(カップ・ウイズ・ハンドル)が形成された事を確認することが出来ます。
下記がLeardboardの画面とチャートの画面です。(有料サイトなので勝手に転載はせきません。銘柄名が隠しておきます)
スマホ用のアプリもあって非常に使いやすいです。
Leardboardの利用料金は月額69米ドル若しくは年額699米ドルです。
*念のため書いておきますが、Investor's Business DailyのLeardboardを使ったからと言って必ず儲かるとは限りません。また私がアフィリエイトでInvestor's Business DailyのLeardboardを紹介して利益を得ようとこの記事を書いている訳ではありません。
Investor's Business Dailyのサイト
この記事の動画です。