海外口座 HSBC香港の口座のメリットと注意点
米国株や中国株の株式投資をしている人達の中には、海外に銀行口座や証券口座を開設し、日本に住みながら、海外口座を使って投資をしている人達がいます。
また、私のように海外在住者や海外駐在の日本人は、日本の証券会社で取引が出来ないので、HSBC香港で口座開設をして、株取引をしている人が多いです。
いわゆるオフショア・海外投資口座です。
日本人に人気なのが、HSBC香港の口座です。
ここがポイント
- 日本人でもHSBC香港で口座開設は可能
- インターネットバンキングで全ての操作が出来る
- HSBC香港の口座で、米国株・中国株の投資も出来る
- 株の利益に税金がかからない
- 香港へ行って口座開設が必要
私も10年以上前から、香港の銀行 HSBC香港に口座を開設し、預金と中国株、米国株の取引をしています。
タックスヘイブンって怪しい? 税金はかからないの? 色々疑問はありますよね。
今日は香港HSBCの口座解説のメリット、注意点、口座開設方法などについて解説します。
- HSBC香港とは
- 海外口座HSBC香港のメリット
- 海外口座 HSBC香港の注意点
- HSBC香港の口座の種類
- HSBC香港の口座開設に必要な書類
- その他
- HSBC香港の口座への送金方法
- 最後に
- 私とHSBC香港
HSBC香港とは
HSBCは、巨大なグローバル金融機関です。
HSBCは、香港上海銀行(The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited)で1865年に香港で設立され、19世紀末には、アジア最大の金融機関となりました。
1991年に持株会社HSBCホールディングスplcとなり、1992年にはミッドランド銀行を傘下にしました。
現在、世界の66カ国に約3,900万人の顧客を持っています。従業員数は約23万人。
日本にも支店がありますが、日本では法人向けのサービスのみ行っています。
HSBCは上場企業です。香港、ニューヨーク、ユーロネクストなど複数の株式市場に上場しています。
海外口座HSBC香港のメリット
12種類の通貨を貯金出来る、マルチカレンシー口座
HSBC香港で口座を開設すれば、12種類の通貨で貯金が出来ます。
香港ドル、豪ドル、カナダドル、スイスフラン、人民元、ユーロ、UKポンド、日本円、ニュージーランドドル、シンガポールドル、タイバーツ、米ドルです。
それぞれの通貨で普通預金、定期預金が出来ます。金利は通貨によって違います。
金利は香港だから特別良いとうことはありません、その通貨次第です。
色んな金融商品を買うことが出来る
香港株、上海A株、深センA株、米国株、ETF、ファンド、FXなどの取引、香港株のIPOへの申込みが出来ます。
HSBCの口座を持っていれば殆どの金融サービスを受けることが出来ます。
ただし、日本株やヨーロッパの株の取引は出来ません。
他にも金(ゴールド)や保険などの金融商品もあります。
ネットバンキングで全て出来る
海外に居てもネットバンキングで全ての操作が出来ます。
海外のATMで現金がおろす事が出来る
色んな通貨で貯金をしていれば、海外へ行った際に提携先のATMから必要な通貨を下すことが出来ます。日本のATMも使うことが出来ます。その際日本円の預け入れが無くても、日本円を下した場合、香港ドルを両替して下すことになります。
キャピタルゲイン課税とインカムゲイン課税が無い
香港で株式投資をして利益が出た場合、株の売却益に対しても、配当収益に対しても税金が掛かりません。
但し、日本に居住している場合は、海外で儲けた利益に対しても、日本で申告し、日本で税金を納めなければなりません。
日本の非居住者の利用
日本人で非居住者の場合、日本の証券会社で取引が出来ないので、海外口座を使えば株の取引が問題なく出来ます。
日本以外へのリスク分散
良く言われている極論で、日本の国家が財政破綻した場合、海外口座に資産を保有しておけば、何とかなるかも知れません。こんな事は無いと思いますが。
海外口座 HSBC香港の注意点
口座維持手数料が必要な場合がある
HSBC香港の口座は、口座に預け入れる資産額によって3つに分かれています。
自分でどの口座にするか選択が可能です。
各口座のレベルによって、3ヶ月の預金平均残高(Total Relationship Balance)が設定されています。詳しくは後ほど、口座のレベルの所でご説明いたします。
もし過去3ヶ月の口座の残高が最低基準額を下回った場合、口座維持手数料を支払わなければなりません。
残高とは現金だけでなく、普通預金、定期預金、持株の時価総額、その他金融商品の合計になります。
英語か中国語を話せないと難しい
日本語も中国語も話せない方のために、香港には、日本語のHSBC香港の口座開設サポートのようなサービス会社が多くあります。
そのような会社のサポートが、いつまで営業するのか分かりません。
語学が出来ない方は、口座開設はしない方が良いと思います。
大切なお金を預けている口座が突如凍結された場合に、自分で交渉出来ないと困ることになります。
また、自分自身が英語か中国語に自信があって交渉出来たとしても、万が一自分が病気などになって動けなくなった場合、家族がHSBC香港と交渉をして、口座の資金を引き継ぐことが出来るかも考えておいたほうが良いと思います。
家族と共同名義の口座に出来るジョイントアカウントと言うのもあります。
この口座を開設する場合は2人でHSBC香港のお店へ行かなければなりません。
香港までの旅費が必要
現在HSBC香港の口座を開設するには、口座開設者本人が香港のHSBCの本店若しくは支店へ行って手続きをしなければなりません。
インターネットや郵送では口座開設の手続きが出来ません。
わざわざ香港まで行くのですから、HSBC香港の口座で資産運用をしようと考えている人は、ある程度の金額の資産運用をするつもりでないと、香港までの交通費がペイ出来ないと思います。
また、何か突発的なことで口座凍結や発行されたキャッシュカードが無効になった場合も、本人がHSBC香港へ行かなければなりません。
私の場合は、ネットバンキングだけ使っていて、キャッシュカードを長期間使ってなかったので、キャッシュカードを無効にされてしまいました。そのため、わざわざ香港まで行って、新しいカードを再発行して貰ったことがありました。
HSBC香港の口座の種類
総合口座と投資用の口座
日本語で総合口座(All in one Accounts)と言う口座があります。
この口座は下記4つの口座のことを言います。
- 香港ドルの普通預金(HKD Savings)
- 香港ドルの当座預金口座(Current Account)
- 香港ドルの定期預金口座(Time Deposit Account)
- 外貨預金口座(Foreign Currency Savings Account)
ここがポイント
他に投資用の口座(Investment Service)があり、HSBC香港で口座開設をする際には、必ずこの投資用の口座も開設した方が良いです。そうでないと株の売買が出来ません。
口座のレベル
口座は預け入れ金額によって3つのレベルに分かれています。
飛行機のファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミーのような感じです。
口座の種類によって対応が変わります。
レベルの高い口座ほど各種商品の取引手数料や金利の優遇があります。
これは自分がどれ位資産を預けるかを考え、自分で選ぶ事が出来ますし、後ほど変更することも出来ます。
3ヶ月の預金平均残高(Total Relationship Balance)が基準額を下回ると口座維持手数料が発生します。残高が基準を上回っていれば手数料は発生しません。
口座維持手数料さえ払えば、HKD100しか貯金しなくてもプレミア口座を持つことが出来ます。
全ての口座はインターネットバンキングが使えます。
香港以外の場所にいても、ネットを通じて残高照会、振込み、定期預金、金融商品の売買が可能です。
☑プレミア口座(Premier)
最低残高:HKD1,000,000(約1,400万円)
口座時手数料:HKD380
詳細ページ:https://www.hsbc.com.hk/content/dam/hsbc/hk/docs/premier/summary.pdf
特典:プレミア専用のカウンターで、専任の担当者が付きます。また、審査なしで、マスターカードが作ることができます。会費は無料です。海外のHSBCの口座への送金手数料が無料になります。
*JADE口座
プレミア口座の人で選ばれた人は、“JADE口座”にアップグレード可能なようです。
JADE口座になれば専用のコンシェルジュが付きます。
JADEになる為の預金平均残高は、HKD780万(約1億1千万円)です。
☑アドバンス口座(Advance)
最低残高:HKD200,000(約280万円)
口座時手数料:無し、ただしパーソナル・インテグレーテッド口座への変更を促される。
詳細ページ:https://www.hsbc.com.hk/content/dam/hsbc/hk/docs/advance/welcome-pack-brochure.pdf
特典:専用のカウンターで、専任の担当者がついて手続きが出来ます。
☑パーソナル・インテグレーテッド口座(Personal Integrated)
口座時手数料:無し
詳細ページ:https://www.hsbc.com.hk/content/dam/hsbc/hk/docs/accounts/welcome-pack-en.pdf
HSBC香港の口座開設に必要な書類
私が口座開設をしたのは10年以上も前で、2019年3月現在はどうなっているか、HSBCのホームページからチャットで問い合わせてみました。
ネット上の情報では日本人の口座開設は簡単に出来ないみたいな記事をよく見ますが、英語か中国語でコミュニケーションが出来れば、誰でも口座開設は出来ます。
日本から準備していく必要書類は2つ
- パスポート
- 英語で住所を証明出来る書類OR国際運転免許証
*英語で住所を証明出来る書類ですが、これは日本の銀行に英文残高証明を発行して貰うのが一番良いと思います。その際に必ず、残高証明書の上に、英語で自分の住所を記載して貰って下さい。
必要書類についての説明サイト
https://www.hsbc.com.hk/content/dam/hsbc/hk/docs/accounts/applyaccount-note-en.pdf
☑他に口座開設申込書が必要ですが、これは銀行の店頭にあります。
HSBC香港の店頭へ行ってから、英語でいきなり申し込みフォームを書くのは戸惑うと思う場合、こちらからフォームを事前にダウンロードし、行く前に記入してくことをおススメします。
3レベルの口座の共通のフォームです。
Integrated Account Opening Form
https://www.hsbc.com.hk/help/forms/
☑口座開設の際に聞かれること
他に職業や口座開設の目的などは口頭で聞かれます。
これには素直に職業と投資目的で口座開設をすると言えば問題ありません。
他に投資経験なども聞かれます。これは顧客のリスクの許容範囲などを把握するためのもので、投資経験が浅いからと言って、断られることはありません。
ここがポイント
最近はマイナンバーを聞かれます。TIN(Taxpayer Identification Number)を聞かれたら、日本のマイナンバーを答えれば良いです。マイナンバーは番号を伝えるだけでよく、通知カードを持参する必要はありません。
既に海外に住んでいる方でマイナンバーを持っていない方でも、マイナンバーを取得する方法があります。
ご興味がある方はこちらをご覧ください。
海外在住者のマイナンバー対策、 一時帰国でマイナンバーを取得 する方法
銀行がマイナンバーを聞く理由は、経済協力開発機構(OECD)の加盟諸国が、共通報告基準(CRS Common Reporting Standard)に沿って、非居住者の口座情報を集めて、国家間で情報を共有しているためです。目的は税の徴収とアンチマネーロンダリングだと思います。
要は海外に口座を持っている人の資産状況を国同士で情報交換するためです。HSBC香港の口座を持つことは別に違法ではありません。マイナンバーを堂々と言えば問題ありません。
☑香港へ行く前に確認すること
香港へ行く前に必要書類を揃えたら、行く前にHSBCのサイトからチャットを使って、書類が問題ないか、いつどこの支店へ行って手続きをするか、営業時間などを聞いておいた方が良いと思います。
せっかく香港へ行った日に休日だったり、必要書類が足りなくて口座開設が出来ないと後悔します。
ちなみに最初に入金をを直ぐ額は幾らでも構いません。口座開設後に自分の口座に送金をしすれば、3か月の平均残高をクリアー出来ます。
こちらからHSBC香港へLIVE CHATで問い合わせが出来ます。
https://www.hsbc.com.hk/help/contact/
その他
キャシュカード
口座を開設するとキャッシュカード渡されます。カードを渡されたら、ATMで直ぐにパスワードを変更しましょう。やり方は銀行員が教えてくれます。
セキュリティーデバイス
ネットバンキングを使う際のセキュリティーデバイスも渡されます。
使い方の説明書も一緒に渡されます。
ロイターの米国株レポート
HSBC香港の米国株の取り引き画面で、上記のようなロイターの米国株のレポートを無料で、ダウンロードすることが出来ます。これは投資の参考になります。
HSBC香港の口座への送金方法
日本に住んでいても、海外に住んでいても、日本の銀行口座からHSBC香港の口座へ国際送金をするには、銀行の窓口に行かならない事が多いです。
私のように中国に住んでいると、日本の取引銀行の窓口へ行って送金手続きは出来ません。
そこで便利なのか新生銀行の国際送金サービス Goレミットです。
ここがポイント
- 新生銀行に口座が無くても送金可能
- 郵送でGoレミットの手続きが出来る
新生銀行のGoレミット
https://www.shinseibank.com/goremit/
仕組みは、自分のネットバンキングで銀行口座から新生銀行のGoレミットの口座へ国内送金すれば、Goレミットが自動的に外貨へ両替し、HSBC香港の口座へ送金してくれます。
手数料は1回2,000円とGoレミット専用TTSレートの差です。
このサービスは、以前はゴーロイズ銀行のサービスでしたが、新生銀行に吸収合併されました。
最後に
もう一度書きますが、英語か中国語で自力で口座開設をする自信が無い場合は、HSBC香港の口座開設は行わない方が良いと思います。
また香港までの旅費を考えた場合、最低でも数百万円を預け入れる予定が無い場合、コストが合わないと思います。
HSBC香港公式サイト
https://www.hsbc.com.hk/
〇海外投資のお役立ちサイト
海外投資を楽しむ会
http://www.alt-invest.com/
色んな海外の金融機関について利用方法や口座開設の情報が載っています。
香港HSBCお助け支店長ブログ
http://blog.livedoor.jp/hsbc_otasuke/
HSBC香港に特化したブログ。困ったことを全て解決出来ます。物凄く情報量が多く、どう言う人がこのブログを書いてるんでしょうか。
私とHSBC香港
私がHSBC香港の口座を開設した理由
私は元々日本に住んでいて、当時は日本の証券会社で取引をしていました。
中国に住むようになってからも、その証券会社でインターネットを通じて取引をしていました。
日本の規則では海外に住んでいる人(住民票が日本にない人)は、日本人であっても日本の証券会社で取引が出来ません。
ネット取引をすれば海外に住んでいることが分からないだろうと思っていましたが、あるとき証券会社から私の実家へ電話がありました。
IPアドレスが海外になっていると言われました。
私はこの時は海外に出張中でと言い訳をしましたが、その証券会社は私の口座を売り注文だけ可能にし、買い注文は今後出来ないようにされました。
仕方が無いので、私は持株を全て売却し、香港で口座を開設することにしました。
私の場合、英文の住所証明として、中国の銀行で残高証明書を発行して貰いました。
HSBC香港の場合、銀行口座と証券口座が一体になっているので、自分の資金の把握がしやすいです。
ただ取引画面などは日本の証券会社の方が分かりやすいし、便利な気がします。
楽天証券の口座の方が持株のポートフォリオを円グラフや、資産の履歴を棒グラフにして出力出来るので使いやすいと思います。
楽天証券で一つ不満なのは、香港株を売却した際に、売却代金が香港ドルで保有することが出来ず、強制的に日本円に両替されて入金されます。
買う際は、買い付け代金を自動的に日本円換算し、日本円から引かれますが、このように売却の度に、毎回日本円に両替されると為替の費用が発生してしまいます。
為替レートは楽天証券が提示したレートです。
HSBC香港に関する本
私がHSBC香港を知ったのは、橘玲さんのデビュー作の小説「マネーロンダリング」です。
この小説は香港のタックスヘイブンやマネーロンダリングの事が題材にしていて、スリリングな内容です。
香港とはどんなに怪しい所かと思いましたが、実際行ってみると物凄く発展している国際金融都市です。
また香港の通貨は中国銀行、HSBC、スタンダード・チャータードの3つの銀行が香港ドルを発行していて、それぞれデザインが違っていて、面白いなあと思いました。