投資指標の見方 -初心者向けの簡単解説-
株を買うとき、トヨタ自動車(6,500円)と日産自動車(938円)はどっちが良いの?
どうやって比較すれば良いでしょうか?
今回は、株式投資に使う投資指標について解説します。
先に話しておくと、株式投資の色んな指標がありますが、決算単体で判断は出来ません。
同じ企業の過去と現在を比較して判断しなければなりません。
人も同じで、健康診断を受けても、過去の健康診断の結果と比較して、血圧が上がってきたので、気を付けないといけない言う風に考えると思います。
また、業種が違うと指標の示す数値が大きく変わってきます。
人も同じで、男女で体脂肪率の標準が違うように、企業もIT企業と鉄鋼会社では各指標の基準が違ってきます。
指標を使う際には、企業の過去から直近までの指標と同業他社の指標を比較して、対象企業の状態がどのようになっているか判断する必要があります。
それでは各投資指標を見ていきましょう。
配当に関する指標
配当利回り
英語:DPS(Dividend Per Shareの略)
計算式:1株配当÷株価×100
指標の意味:株価に対して、年間の配当金がどれだけ出るかの割合を示します。
もしA社の配当金が50円で、株価が1,000円の時、
配当金50円÷株価1,000円×100=5%が配当利回りになります。
B社の配当金が300円で、株価が5,000円の時、
配当金300円÷株価30,000円×100=1%が配当利回りになります。
配当重視で株に投資しているのに、配当利回りが定期預金より低い場合、株に投資せずに定期預金をした方が良いことになります。
配当性向
英語:Dividend Payout Ratio
計算式:1株配当÷1株利益×100
指標の意味:会社の利益を誰だけ株主に配当として配るかを示します。
もしA社の配当金が50円で、1株利益が200円の場合、
配当金50円÷1株利益200円=25%が配当性向になります。
B社の配当金が100円で、1株利益が100円の場合、
配当金100円÷1株利益100円=100%が配当性向になります。
B社の方が配当性向が高いです。
よってB社の方が株主の事を考えた良い会社だなあと思うかも知れません。
でもB社は株主の気を引こうと無理をしてるかも知れません。
投資家から集めたお金で事業をして、株主の価値を高めることが企業経営者の役目です。
儲けた利益を株主に配るよりも、利益で更に事業を拡大したり、新しい事業を起こしてもっと会社を大きくし、株価を高める方が良いかも知れません。
配当性向は業種や企業の発展ステージによって変わってきます。
完全に成熟した企業の場合は、新しい投資をする先が無いので、利益は株主に配当として支払う事があります。
私の見解では、成長株投資をしている企業から配当は欲しいと思いません。
配当を出すお金があるのなら、事業拡大に使って、将来もっと利益を出して株価を高めて欲しいです。
一方、配当狙いで買った企業からは、株価は安定していて構わないので、配当が毎回徐々に増えていくと嬉しいです。
株価の割高さ、割安さを示す指標
株価収益率
英語:PER(Price Earnings Ratioの略)
計算式:株価÷1株利益×100
指標の意味:利益に対して、株価がどれだけ割高かを示します。
もしA社の1株利益500円で、株価が5,000円の場合、
株価5,000円÷1株利益500円=10倍が株価収益率になります。
B社のの1株利益1,000円で、株価が20,000円の場合、
株価20,000円÷1株利益1,000円=20倍が株価収益率になります。
単純にどちらの株価が割安かと言うと、株価収益率が10倍のAになります。
株価収益率は業種や企業の成長ステージによって数値が変わってきます。
既に成熟した企業の場合、株価収益率は低い傾向になります。
一方、アマゾンのような急成長していくとみんなが期待している株は、株価収益率が非常に高いです。
株価収益率が小さいと株価が割安になっているのは事実ですが、みんなが将来業績が良くならないと期待薄で、株価が安くなっている場合もあるので、気を付けなければいけません。
株価純資産倍率
英語:PBR(Price Book-value Ratio略)
計算式:株価÷1株純資産
指標の意味:純資産に対して、株価がどれだけ割高かを示します。
会社の純資産を発行済み株数で割ったものが、1株純資産です。
1株純資産と株価が同じと言う事は、今すぐ全資産を売却して会社を解散すれば、株主に株価と同じ額の売却益が支払われると言う事になります。
もし1株純資産1,000円で株価が500円あれば、会社を解散すれば、株主に株価2倍の売却益1,000円が支払われることになります。これはかなりお得ですよね。
この時、株価500円÷1株純資産1,000円=0.5がPBRになります。
PBRが1倍より小さい会社は、会社を清算したときに、株主に払い戻される現金が株式購入金額より多いと言う意味になります。
株価キャッシュフロー倍率
英語:PCFR(Price Cash Flow Ratioの略)
計算式:株価÷1株キャッシュフロー
指標の意味:キャシュフローに対して、株価がどれだけ割高かを示します。
この指標は株価収益率に似た考え方です。
*キャッシュフロー=純利益+減価償却費
ピーターリンチ指数
英語:PEG Ratio(Price Earnings Growth Ratioの略)
計算式:(利益成長率+配当利回り)÷PER(株価収益率)
指標の意味:成長株の株価の割高度を示します。
この指数は名前の通り、アメリカのファンド・マネージャー ピーターリンチが自身の著書に書いている成長株の判定手法です。
この指数は成長株にしか適応出来ません。
成長していない企業や減益の企業はこの指標で判断が出来ません。
☑指数の基準
1以下:株価が割高
1.5:株価は普通
2以上:株価は割安(買った方が良い)
もしA社の昨年から今年までの利益成長率が予測が10%で、配当利回りが5%、株価収益率が20倍の場合、
(利益成長率10%+配当利回り5%)÷PER20=ピーターリンチ指数1.5
よって株価は割高でもなく、割安でもないと判断。
B社の昨年から今年までの利益成長率が予測が5%で、配当利回りが3%、株価収益率が25倍の場合、
(利益成長率5%+配当利回り3%)÷PER25=ピーターリンチ指数0.32
よって株価は非常に割高で、買わない方が良いという判断になります。
考慮しないといけないのが、過去の利益成長率を使ってこの指標の計算は正確に出来ますが、未来の利益予測は会社が決算で予測を出しても、本当に予測通りになるかは分かりません。
この指標で計算をする際には、利益の予測を楽観視、普通、悲観視と何段階かに分けて、考えた方が良いと思います。
*利益成長率の求め方は、(今年の予測利益-昨年の利益)÷昨年の利益
- 作者: ピーターリンチ,ジョンロスチャイルド,Peter Lynch,John Rothchild,三原淳雄,土屋安衛
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利益に関する指標
1株利益
英語:EPS(Earnings Per Shareの略)
計算式:純利益÷発行済み株式数
過去から現在までの企業業績を見るときに、過去の利益額だけを見て、増えているので、良い企業と単純に判断は出来ません。
なぜかと言うと、発行株式数1万株で純利益が1,000万円の企業が、翌年に純利益1,200万円になったとします。やったー、20%も利益が伸びたと考えます。
でもこの会社は、昨年末に株式分割をして、発行済み株数が2万株になっていた場合、どうでしょうか?
初年度:純利益1,000万円÷発行株1万株=EPS1,000円
翌年:純利益1,200万円÷発行株数2万株=EPS600円
上記の計算の通り1株あたりの利益(EPS)は下がっています。
このようにEPSで判断する必要があります。
自己資本利益率
英語:ROE(Return On Equityの略)
計算式:期純利益÷自己資本×100
自己資本比率
英語:Capital Adequacy Ratio
計算式:自己資本÷総資産×100
売上粗利(総利益)率
英語:Gross Margin Ratio
計算式:売上総利益÷売上高×100
営業利益率
英語:Operating Income Ratio
計算式:営業利益÷売上高×100
売上純利益率
英語:Net Profit Margin Ratio
計算式:純利益÷売上高×100
資金回収に関する指標
アクルーアル
英語:Accruel
計算式:純利益‐営業キャッシュフロー
指標の意味:純利益と営業キャッシュフローの差
キャッシュフローは現金の事です。
企業が活動する上で、現金を持っていることは重要で、幾ら有能な人材と技術を持っていたも、現金がショートすると倒産してしまいます。
売上を上げて、利益を出していても、現金が入ってこなければ黒字倒産をしてしまいます。
もし会社の純利益が1,000万円で、営業キャッシュフローが500万円の場合、その会社の資金回収が遅いか、若しくは粉飾決算をしている可能性があります。
アクルーアルが
プラス:資金回収が悪い
マイナス:資金回収が良い