買うチャンス! アリババ 2019年3月期決算で思う事
アリババ(BABA)の2019年3月期の四半期決算と2019年通期決算が2019年5月15日に発表されました。
結論を先に書くと、決算が良かったので、アリババ株を買いたいです。
多くの中国企業の決算期は12月ですが、アリババは3月末が決算期です。
そのため、通期(年間の決算)は3月末締めになります。
ここがポイント!
- 2019年1-3月のECの売上成長率が再び高く54%UP
- クラウド事業の売上76%UP
- モバイルMAU7億2,100万人(2,200万人UP)
それでは決算を見ていきましょう。
アリババ2019年3月期四半期決算内容
売上:934億9,800万人民元(51%UP)
営業利益:87億6,500万人民元(5%DOWN)
純利益:200億5,600万人民元(42%UP)
EPS:8.57人民元(50%UP)
営業利益については、前年同期比5%DOWNになっています。理由はアメリカ連邦民事集団訴訟(U.S. federal class action lawsuit)の和解金2.5億米ドルを計上しているためです。
この訴訟とは、アリババが2014年に新規株式公開をする際に、アリババのサイトで偽物の商品が取り扱われている事の適切な情報開示をしていなかったと言うものです。
アリババ2019年通期決算内容
決算概要
売上:3,768億4,400万人民元(51%UP)
年間マーケットプレイス・アクティブユーザー数:6億5,400万人(18%UP)
モバイルMAU:7億2,100万人(2,200万人UP)
GMW(マーケットプレイス取扱高):5兆7,270億人民元(19%UP)
営業利益:570億840万人民元(15%UP)
純利益:876億人民元(37%UP)
EPS:33.38人民元,4.97米ドル(36%UP)
アリババの各事業の考察
- コアコマース:売上 3,234億人民元(51%UP)、EBITA42%
- クラウド:売上 247億200万人民元(84%UP)、EBITA⁻5%
- デジタルメディア&エンターテイメント:売上240億7,700万人民元(23%UP)、EBITA⁻66%
- イノベーション・イニシエーション:売上46億6,500万人民元(42%UP)、EBITA⁻128%)
2019年3月期通期決算は、アリババの中核事業であるコアコマース(EC)の売上が51%も増加しました。このコアコマースはアリババの売上全体の86%を占めています。
次に売上高の7%を占めるクラウド事業は、この数年で急成長していて、通期で売上が85%も増加しました。ただクラウド事業は未だ利益が出ていません。
ただアマゾンのAWSのように、クラウド事業については投資期間が一巡して利益が出るフェーズになると一気に莫大な利益を生み出すと思います。
動画サイトYouku(优酷)や映画事業のアリババピクチャーなどのデジタルメディア&エンターテイメントは売上が25%増加しています。この事業も赤字です。動画事業については今後の5Gになれば利用量と利用時間が増えますので、大きな期待が出来ると思います。
イノベーション・イニシエーション事業については、良く分かりません。
アリババの株価と買うチャンスが来る
株価:169.57米ドル(-3.42%、2019年5月17日終値)
PER:34.11倍
アリババの株価は今年(2019年)1-3月頃までは大きく上昇しましたが、米中の貿易摩擦によって不安定になってきています。
2019年3月までの決算を見ると中核事業のECの売上の成長率は取り戻していますし、今後の業績も順調に伸びていくと思います。
アリババの利益の大半は中国国内から出ていますので、米中貿易摩擦の与える影響はそれ程大きくないと思います。
中国国内の景気は良くないと言うニュースや米中貿易摩擦で株価が下がれば買っていきたいと思います。
2019年3月期(通期)のEPSが4.97米ドル(33.38人民元)です。
下記くらいの株価で買う事が出来れば良いのですが...
PER30倍の場合、株価は149.10米ドル(現在より13%下落)
PER25倍の場合、株価は124.25米ドル(現在より26%下落)
ただし単に下落したので買うのではなく、もちろん次の6月末決算で業績が伸びている事、中国の株式市況がある程度上向いている事が条件になると考えています。
アリババ(阿里巴巴集团)とはどういう企業なのか
売上:約6兆円
ユーザー数:6億5,400万人
の中国巨大IT企業。
中国語名は阿里巴巴集団。
アリババグループホールディングスは中国の会社で、主にEC、クラウドサービズ、フィンテックサービズ、物流サービスを運営する総合IT企業です。
アリババの運営事業
- CtoCのECサイト 淘宝網 (Taobao.com)、
- BtoCのECサイト 天猫、
- BtoBのECサイト ALIBABA.com と1688アリババ
- 国際ECサイトAliExpress.com
- 検索サイトYahoo!中国雅虎
- 電子決済サービス 支付宝 (Alipay)
*アリババはAlipayを運営するアントファイナンシャルの株式を33%保有しています。
- クラウドサービスのアリババ・クラウド阿里雲
- 動画サイト Youku、
- フードデリバリーサービス 饿了么(アーラマ)
- ニューリテイルスーパー 盒马
1999年に元教師をしていた、馬雲(ジャック・マー)氏が仲間と共にアリババを創業しました。
馬雲会長(54歳)はカリスマ経営者として長年アリババグループを大きく発展させました。2014年9月にアメリカニューヨーク証券取引所に上場。
馬雲会長は、2019年9月に辞任して張勇CEO(46歳)にアリババグループを引き継ぐと発表しています。
アリババは中国企業ですが、主な株主は外国企業です。
ソフトバンク(29.2%)
アルタバ(旧Yahoo!)(15.0%)
ジャック・マー(7.0%)
ジョセフ・ツァイ(2.5%)
ソフトバンクの孫正義社長は馬雲(ジャックマー)氏に会い、面談5分で、赤字のアリババに約20億円の出資と決めたと言われています。
14年後のアリババがニューヨーク証券取引所に上場時には20億円は約4,000倍の8兆円になりました。
ソフトバンクの決算説明会の動画を見ると、アリババ株の事については毎回重要な事柄として孫社長より説明があります。
日本企業で対中国投資や事業で一番成功しているのが、ソフトバンクではないでしょうか。
2016年にソフトバンクはアリババ株を一部売却しましたが、その後も馬雲(ジャックマー)氏と孫社長は互いにソフトバンクとアリババの取締役を兼任して提携関係を継続しています。
この記事はアリババグループ・ホールディングスのサイトのIRを参考に書きました。
また一部の画像はアリババグループの決算資料から転載しました。