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昭和の金融・経済小説

私は金融・経済小説を読むのが好きです。

 

金融と言うと高学歴のエリートが金融工学を駆使して、クールに利益を出していくイメージがあると思います。

 

でも戦前や昭和の高度経済成長時の日本の金融は、まだネットも無い時代でデイトレも有りません。

 

相場師やフィクサーのような人達が、貪欲に泥臭くうごめいている世界でした。

 

今日は私が読んで中で、昭和の時代の金融経済小説をご紹介いたします。

 

私の好きな経済小説の作家の一人は、清水一行氏です。

 

昭和の金融経済小説を数多く書いています。ノンフィクションに近い、実際の企業や経済事件を題材にした物もあります。

 

清水一行氏の小説は古いですが、殆どがキンドル化されていて、いつでも買うことが出来るので嬉しいです。おススメです。

 

 

城山三郎の「百戦百勝 働き一両・考え五両」

 

大正時代から昭和初期にかけて生きた貧しい農家出身の男が米問屋に就職し、その後相場師、事業家として成功する話。

 

主人公は慎重さと大胆さを両方兼ね備えた人です。

大正時代、昭和初期の時代背景が見ることが出来て興味深い。

 

 

百戦百勝 働き一両・考え五両 (角川文庫)

百戦百勝 働き一両・考え五両 (角川文庫)

 

 

清水一行の「大物」

 

戦後貧しい農家に生まれた主人公が警察官を辞め、闇市で稼ぎ、勉強の為無給で証券会社へ就職、相場を張って大儲けする話です。

 

その後証券会社の社長になり大成功する半生のフィクション小説。

戦後の日本経済の事が多く書かれていて、泥臭くて興味深いです。 

大物(第一部 相場師の巻) (光文社文庫)

大物(第一部 相場師の巻) (光文社文庫)

 

 

 

清水一行の「欲望集団」

 

バルチック艦隊の一つの戦艦に積んであった時価10兆円とも言われる金塊を沈没船から引き上げると言う話です。

 

ただし、詐欺師集団は本当に金塊があると思っていなく、金塊の引き揚げを口実に船舶振興会の会長で右翼のドンである人物から数十億円という資金をだまし取る計画をしています。

 

話はフィクションですが、実在の人物を参考に書かれています。

 

実際に引き揚げ作業をやってみるのですが、17本のインゴットが発見される。

 

その後は…。読んでみて下さい。 

欲望集団 (徳間文庫)

欲望集団 (徳間文庫)

 

 

清水一行の「秘密な事情」

 

コンプライアンスは今ほど厳しく無い昭和の高度成長期の企業小説には色んな事が出てきます。

 

関西で起業した経営の神様と呼ばれたカリスマが率いる、某大手総合家電メーカーをモデルにした昭和の高度経済成長期の話です。

 

主人公は企業の宣伝部で自社のスキャンダルを抑えようとマスコミ対策に奔走します。

 

 

秘密な事情 (集英社文庫)

秘密な事情 (集英社文庫)

 

 

松本清張の「塗られた本」

 

小さな出版社を経営する美人人妻社長は売れてない詩人の夫の詩集を出版する費用を捻出する為に、自分の出版を大きくしようと色仕掛けで人気の小説家に作品を提供して貰おうと奔走します。

 

この本を読んで改めて思ったのは、男は女性に対して単純にしか考えることが出来ず、女は策略的に考える事が可能だと思いました。

 

この美人人妻社長がどのように渡り歩いていくのかスリリング です。 

塗られた本 (講談社文庫)

塗られた本 (講談社文庫)

 

 

清水一行の「相場師」

 

この小説は実在の畠中平八氏と言う方をモデルにしたもののようです。

 

「北浜の平ちゃん」「相場の神様」として親しまれ、証券界の旋風児として大阪・北浜の一時代をリード。

 

太平洋戦争後、証券セールス日本一、二つの証券会社の社長を歴任。

 

昭和22年(1947年)  金田証券入社

昭和35年(1960年)  金田証券社長に就任

昭和40年(1965年)  金田証券を自主廃業

 

*この小説では金田証券で相場を張って反対に動き、失敗し会社を廃業する時までを描いています。廃業後に相場が平ちゃんの予想通りの張った方に動きます。

 

昭和43年(1968年)  須々木証券に顧問として入社「証券セールス日本一」として週刊誌に掲載される。

 

昭和44年(1969年)  岩井証券社長に就任

 

昭和48年(1973年)  中山製鋼株、仕手戦で大暴騰劇を繰り広げ、「中山製鋼の平ちゃん」とマスコミが騒ぎ立てる。

 

その後、健康食品の会社の社長になったようです。

 

タイトルの相場師と言うのはそのままで、物凄い男っぽく破天荒な生き方です。

 

相場師 (徳間文庫)

相場師 (徳間文庫)

 

 

高木彬光の「白昼の死角」

 

戦後実際にあった事件を題材にした小説です。

 

高利貸しは昔からあり、金融リテラシーの低い人達をカモにする商売なんですね。

 

光クラブは実在した東大生が経営する貸金業者です。

 

開業4ヶ月後には、資本金400万円、社員30人を擁する会社にまで発展。

 

しかし、物価統制令違反で逮捕されると出資者の信用を失い、業績が急激に悪化。

 

その後、名称を変更して資金を集めようと図るも成功せず、株の空売りで最後の資金調達を試みるがこれに失敗、約3000万円の債務を履行できなくなり…

 

白昼の死角 (光文社文庫)

白昼の死角 (光文社文庫)