中国が題材の書籍
私は2005年から中国上海に住んでいます。
中国に何年住んでいても、驚かされることばかりです。
中国は私たち日本人には理解出来ないことが多くありますし、中国と言っても、時代や地域によって大きな違いがあります。
少しでも中国を理解したいと思って色々本を読みました。
その中から、おススメのものをご紹介したいと思います。
六六の上海、かたつむりの家
「上海かたつむりの家」 は中国の小説の翻訳版。
地方から来て大学を卒業し上海で生活する夫婦と夫婦の妹を愛人に持つ公務員を描いた物語。
今から2005年ごろの話と思います。
マイホームを買うために一家が苦労します。
また現代の中国の社会問題 である不倫(愛人)、汚職など盛り込まれています。
コメディタッチで現代の上海に暮らす人を描いたドラマかと思っていましたが、そうではなく非常に悲しい結末で何とも言えない気持ちになりました。
中国では非常に人気のドラマになったようですが、途中で打ち切りになったみたいです。
政府関係者の腐敗などを暴露した内容もあるので、ドラマは打ち切りになったのかなと思います。
ドラマは長いし、中国語で理解できないと思い、日本語訳の小説を読んでみました。
中国人のリアルな生活を知ることが出来る物語だと思います。
チャールズマッキャリーの上海ファクター
米国人スパイ(諜報員)が上海で活動する小説。まずは上海に行き、目立たないように生活し、中国語をマスターし、CIAの指示を待て。
彼が上海に来て直ぐに中国美女が自転車でぶつかって来る。
これはハニートラップなのか?
その後彼女と2年間付き合う。また何者かに黄浦江に投げ込まれたり、調査の為に潜入し中国企業で働いたり、彼の人生は米国と中国のスパイ戦争で、色んな人に奔走させられます。
スパイと言うと男前、強い、頭脳明晰、モテるようですね。
この小説の中国の著者は実際に元諜報員だったようです。
マーラ・ヴィステンドールの女性のいない世界 性比不均衡がもたらす恐怖のシナリオ
タイトルを見たとき、遠い未来のSFの世界の話かなと思いました。
ではなく、現実に特にアジアの国で起こっている問題です。中国の出生性比を知ってここまで差があるとは驚きました。
原題はUnnatural Selection: Choosing Boys Over Girls, and The Consequences of a World Full of Men.
著者はこの10年間中国に滞在し、上海復旦大学でジャーナリズムを教えた経験も持っている記者で、特に中国の取材に関しては綿密に行っているように思います。
生物学的には出生性比は女性100人に対し男性105である。
しかしアジアではこのバランスが大きく崩れている。特に中国とインドで激しい。
例えば、中国の江蘇省の睢宁では2007年に生まれた赤ちゃんの出生性比は女性:男性が100:152。湖北省の天門では100:176。
女性にとって男性が多いと、男性を選り好み出来て良いと考えるかも知れないが、男性が多いと社会秩序が大きく乱れて、女性にとって住みやすい社会ではなくなる。
結婚が出来ない成人男性が増えた際、暴力事件が多発し、売春や人身売買など様々な問題が出くる。
日本や韓国では少子化が問題になっていますが、地球規模で見ると、国によっては急激な人口増加が問題となっている国や出生性比のアンバランスが問題になっている国がある。
この本では出生性比のアンバランスの原因と各国の実態を調査、現地取材、産婦人科医師の話を交えて伝えています。
原因は単に現代の中国やインドが少子化を進めているだけでなく、冷戦時代に途上国の人口増加が食料資源を食いつくし、資本主義国家にとって途上国の人口増加が良くないと考え、アメリカが膨大な資金を投じてインドや中国で人口抑制運動を推し進めた為である。
中国ではエコー検査で性別を医師が患者に伝える事は違法です。一人っ子政策で一人しか産めないとなると、自分たちの家系を守っていく男の子を何としても産みたいと言う考えがあるようです。
一方アメリカでは体外受精で男女産み分けが可能なPGDと言う技術を使って子どもを作る際、殆どの親は女の子を欲しがるようです。
船戸与一の 金門島流離譚
この物語は福建省と台湾の間にある金門島が舞台です。
以前仕事で何度も福建省の厦門の台湾系の取引先を訪問していました。
当時は中国本土から台湾へ直行便が無く、台湾人が台湾に帰省する際に金門島までフェリーで渡り、そこから飛行機で台湾へ渡っていたのを思い出しました。
また厦門側の浜辺に”国家統一”みたいなことを書いた大きな看板が海岸に向かって建てられていたのを覚えています。
政治的に微妙な地帯になっている金門島を話では聞いたことがありましたが、偽物品の海外への出荷の窓口になっていたとは初めてしりました。
この話は日本人の元一流商社マンが事情があって退職し、金門島で偽造品の貿易をするという話です。
一度金門島に行って街を見てみたいです。
辻原登の村の名前
まだ中国の田舎では電話も無く、兌換券が使われていた時代に、湖南省の田舎に畳表の仕入れのため出張先した商社マンが見た現実。
手配されてない材料、生産出来ない工場、仕事そっちのけの歓迎会、貿易公団と村の幹部の話が違う。
夜中に女の叫び声。
少年がいつの間にか老人に変わっている。ここは桃花源村。不思議な出来事が次々に起こる。恐ろしく不気味な場所に来てしまった。
中国へ商談と生産の立会いの為に出張来たけど、物事が上手く運ばないが、お酒の接待漬けにされると言う日本人の出張者が経験するようなエピソードが盛り込まれています。
中国の不思議を感じることが出来る話です。