中国動画サイト・ビリビリ動画(bilibili・嗶哩嗶哩)について
中国動画サイト・ビリビリ動画(bilibili・嗶哩嗶哩)について書いてみたいと思います。
ビリビリとは
ビリビリは2009年6月26日に設立された中国の動画共有サイトです。
中国には数多くの動画共有サイトがありますが、ビリビリ動画の特徴はオタク向けのコンテンツが充実していて、日本のニコニコ動画のように動画の画面にコメントが流れます。
ビリビリ動画には日本のテレビ番組のコピーが多くアップされているので、私も時々ビリビリ動画を見ます。
中国には、ビリビリ動画以外にも爱奇艺(iQIYI)、优酷(YouKu)、腾讯视频(テンセント・ビデオ)と言う大手の動画サイトがあります。
また、グーグル傘下のYouTubeは中国ではアクセスが出来ないので全く見れない状況です。
ビリビリ動画のユーザーは82%が中国のジェネレーションZと呼ばれる世代で1990年から2009年に生まれた若者です。
このジェネレーションZは中国の人口の24%を占め、3億2,800万人がいます。
ビリビリのユーザアクティブユーザー数は2018年第3四半期の時点で、9,300万人います。
ユーザーの一日当たりの平均視聴時間は85分間です。
ビリビリのユーザーの多くがアニメ、コミック、ゲーム、ライトノベルが好きです。
中国政府から内容が低俗だと言う事でアプリストアからビリビリ動画のアプリが削除されたことがありましたが、それでも売り上げを伸ばしているようです。
ビリビリの企業情報
企業名:Bilibili Inc.
本社所在地:中国上海
従業員数:1,903人(2017年末時点)
上場市場:米国ナスダック
上場日:2018年3月28日
ティッカーシンボル:BILI
株価:17.74米ドル(2019年2月15日時点)
PER(株価収益率):赤字のため該当せず
EPS:マイナス0.83米ドル
売上:約24億6,800万人民元(約394億円)(2017年決算)
利益:マイナス9億5,900万人民元(約マイナス153億円)(2017年決算)
ビリビリ動画は2018年3月28日に公募価格11.50米ドルで米国ナスダック市場に上場しました。
しかしながら、初値が9.8米ドル、当日の終値が11.24米ドル、上場の際の時価総額は約31億ドルでした。
現在、ビリビリ動画の株価は17.74米ドル、時価総額は49.4億ドル(約5,434億円・2019年2月15日時点)です。
ちなみに、ニコニコ動画を運営するカドカワ株式会社の時価総額は767億円(2019年2月15日時点)です。
ビリビリのテンセントとアリババとの関係
中国のIT企業は大手3社のBAT(百度、アリババ、テンセント)が牛耳っていて、殆どの小さなIT企業にはこの3社の資本が入っており、代理戦争状態になっています。
ビリビリ動画の場合は特殊で、テンセントのアリババの両方の資本が入っています。
2018年10月テンセントがビリビリへの出資比率を引き上げ、合計で12.3%の株式を保有しています。
テンセントはビリビリのクリエーターのゲームとアニメの為のライセンスの事業をしています。
アリババは、ビリビリ動画のライバルのAC ファンと言う動画サイトに出資していましたが、業績が上手く伸びずに諦めて売却しています。
アリババは2019年2月14日にビリビリの株式10.8%を取得し、筆頭株主となりました。
正確にはアリババグループ傘下のECサイト企業タオバオがビリビリの株式を取得しました。
アリババがビリビリの株式を取得した意図は、ビリビリの若いユーザーをECサイトへ誘導することと、ビリビリのインフルエンサーを使って物販を行う目的のようです。
中国の最強のテンセントとアリババの2社から資本を得ていると言う事は、強力な後ろ盾あるので、凄い良いと思います。
ビリビリの業績
2018年の第3四半期の売上は前年比45%も伸びています。
売上構成比率を見ると、ビリビリは動画サイトとして有名ですが、売上の約68%モバイルゲームから出ています。動画サイトとしてのライブストリーミングは約15%、広告からの売上は約12.7%です。
現在中国で流行りのライブ配信と広告からの売上の割合が増え始めています。
直近の2018年第3四半期の決算
売上:10億7,900万人民元
売上明細
- モバイルゲーム:7億4,400万人民元(前年同期比24%)売上比率:68.9%
- ライブストリーミング:1億7千万人民元(前年同期比292%)売上比率:15.7%
- 広告:1億3,700万人民元(前年同期比179%)売上比率:12.69%
- その他:2,800万人民元(前年同期比-20%)売上比率:2.5%
利益:約マイナス2億元
2017年第3四半期の利益はマイナス3億元でした。
意見
ビリビリは未だ利益の出ていない企業ですが、2017年の売上が約24億6,800万人民元(約394億円)もあり、3億人以上もいる中国の若者向けのサービスでです。
ゲーム以外の売上でライブストリーミングと広告が伸び始めています。
正直なんとも言えないですが、利益が出始めたら、株価も伸びていくと思われます。
*今回の記事のデータはビリビリのIRサイトの2018年11月のプレゼン資料から一部抜粋しています。
http://ir.bilibili.com/static-files/e2426773-15c1-4481-97e0-9520919aa808
おまけ情報
私がビリビリ動画を知ったのは、ビリビリ動画のクリエーターで中国のオタク界で超有名な日本人 山下智博さんの講演を聞いてからです。
数年前に上海でライフネット生命の出口さんの講演があって聞きに行ったところ、出口さんの次に 山下智博さんが登場しました。
初めはこの人はどんな人なんだろうと思って聞いてましたが、話がめちゃくちゃ面白く、仕事はユーチューバーのようにビリビリ動画上で、中国語で動画配信をしているとのことでした。
幾つか動画を見たことがありますが、確かに面白いです。
あまりにも人気になったので、ビリビリが資金を出して動画を作って欲しいと依頼があったようです。
日本からはビリビリは見れないと思いますが、YouTubeにも山下さんのチャンネルがあります。